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Art Incubation Program

上田麻希 展覧会「Aerosculpture ver.2『匂う森』」

2026.01.30 - 2026.02.01
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上田麻希 展覧会「Aerosculpture ver.2『匂う森』」

開催概要

開催日時2026年1月30日(金)〜2026年2月1日(日)18:00-20:00 *最終入館19:30
関連ワークショップ:17:00-開催予定 *詳細は下記をご確認ください。
会場夢の島熱帯植物館(東京都江東区夢の島2-1-2)
観覧料無料 (※入館料別途)
2025年度 CCBTアーティスト・フェロー上田麻希による展覧会「Aerosculpture ver.2『匂う森』」を夢の島熱帯植物館にて開催!匂いを手がかりに、「空気」の循環を、嗅覚・聴覚・視覚を通じて立ち上げる体験型インスタレーション作品を展開します。展覧会開場前の17時からは、関連ワークショップも実施。

2025年度 CCBTアーティスト・フェローである上田麻希のプロジェクト「Olfacto-Politics — The Air as a Medium(嗅覚の力学 ─ メディウムとしての空気)」は、匂いを手がかりに「コモンズとしての空気」について学び、見えない空気を見える化・体験化する複合的な試みです。 本展覧会「Aerosculpture ver.2『匂う森』」では、夜のバイオームを舞台に、「共生」をテーマとした体験型インスタレーション作品を展開します。

会場となる夢の島熱帯植物館は、都市にいながら熱帯の自然に触れることのできる、森のような環境を内包した施設です。熱帯雨林の気候を再現した3つのドームには、亜熱帯や小笠原固有種をなど約1,000種の植物が生い茂ります。本展では、そこに存在する自然そのものの匂いや環境に対して、上田が人工的につくり出す仕掛けを重ね合わせることで、昼とはまったく異なる表情を生み出します。また、聴覚や視覚といった感覚が連動し、匂いの知覚へとシフトさせることで、新たな嗅覚経験を創出します。 開催期間中の17時からは、夢の島熱帯植物館 イベントホールにて関連ワークショップ「メッセージとしての香り — 交信フレグランス」を開催します。このワークショップでは、参加者自身が展示空間の「空気」へ関与できるツールとしての香りを作ります。

夢の島熱帯植物館 平面図 スケッチ

Aerosculpture ver.1(撮影:Taniguchi Takumi)

ご観覧にあたっての留意事項

・夢の島熱帯植物館の通常開館は17時までとなりますが、展覧会開場時間の18時までそのまま館内でお過ごしいただけます。 ・本展覧会では匂いを扱っています。呼吸器疾患等不安のある方は医師に相談の上でご参加ください。 ・混雑時は会場となる大温室への入場を制限し、館内でお待ちいただく場合がございます。 ・会場内は暗く、また段差もございます。運動靴などの歩きやすいお履物でご来場ください。 ・会期中はメディアの取材や主催者側の記録撮影を行う可能性がございます。WEBサイトなどに掲載される場合がございますので、あらかじめご了承ください。 ・そのほか、会場のよくあるご質問をご確認の上、ご不明点があればCCBTお問い合わせまでご連絡ください。

関連ワークショップ「メッセージとしての香り — 交信フレグランス」

開催期間中、17時より関連ワークショップを開催します。 夜に咲く花・サガリバナは、その芳香によって蛾やコウモリに「受粉してほしい」というサインを送るといわれています。この仕組みにならい、「今日は誰かと話したい」「今日はそっとしておいてほしい」など、ムード(感情や気分)を“匂いのメッセージ”として表現し、”交信のための香り”をつくります。 参加者は制作したフレグランスを身に纏い、展示空間を巡ることで「空気」への関与を試みます。

日程:2026年1月30日-2月1日 受付時間:17:00- / 17:30- / 18:00- / 18:30- / 19:00- (各回30分程度、予約不要、先着順)*参加枠に限りがございます。 会場:夢の島熱帯植物館イベントホール 講師:上田麻希、楠尚子

アクセス

夢の島熱帯植物館(東京都江東区夢の島2-1-2)

公共交通機関をご利用の場合

東京メトロ有楽町線、JR京葉線、りんかい線『新木場駅』下車、徒歩13分 都営バス「夢の島」バス停下車、徒歩5分

夢の島熱帯植物館 入場料 一般 250円 65歳以上(身分証をお持ちください) 120円 中学生(都外からお越しの方) 100円 中学生(都内在住もしくは在学) 無料 小学生以下 無料

プロジェクト「Olfacto-Politics: The Air as a Medium(嗅覚の力学 〜メディウムとしての空気〜)」

匂いを手がかりに「コモンズとしての空気」について学び、見えない空気を見える化・体験化する複合プロジェクト。レクチャー・ワークショップからなる学びの場の創出、極めて主観的な感覚である嗅覚をテクノロジーで測ることで嗅覚世界を可視化するリサーチ、空気の循環を表現する空間作品を制作・発表する三つのフェーズから成る。人間を含む全ての生物が多種多様な情報をやりとりしている「空気」から、生物多様性やバイオームへの思考を促し、世界を捉える新たな視点を生み出すことを目指す。

プロジェクト構成

フェーズ1

嗅覚ゼミ「SMELL LAB」

フェーズ2

リサーチ(空気の可視化)

フェーズ3

展示

アーティスト・ステートメント(文=上田麻希)

空気はコモンズ(共有資源)である。息を吸って吐いて生きる私たちにとって、ここまでは私ので、そこからはあなたのね、と線引きできるものではない。コロナ禍は我々にそのことを改めて認識させた。 もし空気を媒体(メディウム)と捉えるなら、我々人間含むすべての生物がそこでたくさんの情報をやりとりしている。酸素や窒素などの気体、匂いやエアロゾルなど化合物やウィルス、さらには科学では説明しにくい「気」のようなものも内包する。このプロジェクトは匂いを手がかりに、コモンズとしての空気とその循環を可視化し、タンジブルに体験できるようにするものである。 私は嗅覚アーティストとして20年以上、匂いに携わっている。匂いや香りには、人の感情や記憶に訴えるという興味深い側面がある。しかしその点が誇張されてフォーカスされがちでもあり、香りと情緒を紐づければ、モノやサービスが売れやすくなるとも思われがちである。見方を変えれば、息をせねば生きられない我々にとっては、無意識に操られるということも意味する。しかも過密な都市には、良くも悪くも人工的な匂いで溢れかえっている。嗅覚を通して体内に入ってくる揮発性物質を広義の匂いと捉えるなら、それは生理現象をも操り、時に健康を害し、人を死に追いやる側面もある。 先日埼玉八潮で起きた下水陥没事故でも、卵の腐ったような匂い(硫化水素=金属を腐食させる)が辺りに充満したといわれる。30年前の地下鉄サリン事件で使われたサリンも、揮発性の有機リン系化合物であり、異臭がしたと被害者は語っている。世界有数の人口密度を誇る東京の過密・密閉下では、例えばマンション下の老舗うなぎ屋と上の新参住民との間で問題なるなど、匂いは争いの火種として常に潜んでいる。そして普段はコントロール下にあるように見える場合でも、災害時や非常時には必ず悪臭が課題となる。 コモンズとして空気を捉えるなら、そこで生じる様々な問題もコモンズであり、グローバル・コモンズでもある。昨今の東京の夏は危機的に暑い。気候変動、温暖化問題はもう待ったなしの切実な問題であろう。私はここで、匂いで人の記憶や感情に訴えるよりは、テクノロジー(デジタル嗅覚)の力を借りて客観的なデータを示したいと考える。 都市とは、自然からその匂いを奪ったエリア、いわば人間の縄張りである。東京のような大都市に人が生きるようになってから、せいぜい100年ほどしか経っておらず、東京はさながら壮大な嗅覚の実験場である。そんな東京を舞台に、このプロジェクトでは「生きる(息る)」ことを問い、嗅覚の知性とレジリエンスを養う場としていきたい。

CCBT「アート・インキュベーション・プログラム」とは

CCBTのコアプログラムのひとつである「アート・インキュベーション」は、クリエイターに新たな創作活動の機会を提供し、そのプロセスを市民(シビック)に開放することで、都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造を目指すプログラムです。公募・選考によって選ばれる5組のクリエイターは、「CCBTアーティスト・フェロー」として、企画の具体化と発表、創作過程の公開やワークショップ、トークイベント等を実施し、CCBTのパートナーとして活動します。

Players

上田麻希 Ueda Maki

上田麻希

Ueda Maki

Olfactory artist

Since 2005, Ueda Maki has explored the intersection of scent and art, creating works that use smell and becoming a pioneering figure in the field of olfactory art. Since 2009, she has taught at institutions around the world including the Royal Academy of Art in The Hague, nurturing a new generation of olfactory artists. Nominated five consecutive times for the Sadakichi Award for Experimental Work with Scent at the Art and Olfaction Awards―an international hallmark of olfactory art―and winner of the award in 2022, Ueda is also a recipient of the Commissioner for Cultural Affairs Award 2024. Currently based on the island of Ishigaki, she runs an olfactory art laboratory engaging in education and tourism while exhibiting and running workshops around the world.

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Credit

企画・制作上田麻希
主催シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT](公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)
共催夢の島熱帯植物館
CCBTリニューアルオープン「都市は、想像力を要求する。」